ご挨拶 —「開陽丸子孫の会」第6回総会を迎えて

開陽丸子孫の会は、2012年4月29日に創立5周年を迎えます。思えば5年ほど前、当会を設立する際に呼びかけた子孫は20数名でしたが、今や70名を超える会員数に増えました。年1回の総会に加えて、毎年幕末の歴史に関わる史跡などを訪れる旅などで、会員同士の交流を深めてきました。幕末の混乱期に開陽丸という船に関わって出会い、共に過ごした先祖の子孫が、約150年の月日を経て再び出会い時を過ごしていることを、先祖たちはどのように思っているでしょうか?
開陽丸の歴史を深く知るにつれ、またそこに関わった人々の生き様を知るにつれ、困難な世情の中で生きること、よりよく生きることの大切さを噛みしめることができるように思います。
さて今年2012年は、幕末にオランダに留学した15名の留学生が、日本を旅立って150年目の記念の年に当たります。当時、遠く離れたヨーロッパまでの渡航は困難が予想され、決死の覚悟が必要だったと思われます。事実、品川沖からロッテルダム迄270日あまりの大変な航海でした。この留学の最大の目的は、オランダに発注した当時考えられる世界最強の軍艦「開陽丸」の完成時に、留学生たちが勉学して得られる西洋の最新の知識を、軍艦と共に持ち帰ることでした。彼らが「開陽丸」とともに持ち帰った技術や知識は、日本の近代化の礎となりました。
今年と来年は、関連した行事が沢山催されると思います。会員の皆様にお目にかかれることを楽しみにしています。皆さまのご参加とご協力をお願い申し上げます。
2012年4月3日
開陽丸子孫の会 会長
榎本 隆充