ご挨拶 —「開陽丸子孫の会」第7回総会を終えて
2007年に設立された開陽丸子孫の会は、本年4月に創立7年目を迎えました。設立の際に集まった子孫は約30名でしたが、現在では会員数100名を超える会へと成長致しました。これも会員・関係者の皆様のおかげと、深く感謝しております。
さて今年は、幕末オランダ留学生がオランダに到着してから150年目の節目の年に当たります。そこで会では、会員および関係者によるオランダ・フランス訪問を計画しています。留学生達の過ごした町を訪れるだけでなく、開陽丸が建造された造船所跡も訪問する予定です。フランスでは、幕末に徳川幕府の軍事顧問としてフランスから訪れ、蝦夷共和国軍として共に函館五稜郭で戦った、ジュール・ブリュネの御子孫との再会も検討中です。会員・関係者の方で参加を御希望される方は、早めにご連絡いただきますようお願い申し上げます。
昨今の歴史ブームの中で、幕末の歴史も見直されております。現在NHKの大河ドラマで放映されている「八重の桜」もその一例で、幕末動乱期における会津藩の複雑な立場を、会津藩側から再検証しています。ハラハラしながらご覧になっている方も多いのではないでしょうか?開陽丸に乗って江戸を脱出した人々の多くは、明治維新後は身を小さくして過ごしたといわれています。しかし彼らにも、信念や、家の事情、あるいは主君との繋がりの中で、それぞれの義を貫いて身の振り方を決めたのだと推察します。我々子孫は、その先祖のおかげで今日ここに生きているのです。今一度歴史を振り返り、先祖の軌跡と諸事情を考え直すことは、私達と我々の次の世代に正しい歴史認識を伝えるために必要なのではないでしょうか。
本会は年一回の総会に加えて、毎年歴史に関わる史跡などを訪れる旅行や講演会を実施し、会員同士の交流を深めています。幕末の混乱期に開陽丸という船に関わり、共に過ごした先祖たちは、子孫が約150年の月日を経て再び集まり、同じ時間を過ごすとは夢にも思わなかったことでしょう。
会員の皆様、関係者の方々には、今後も当会の発展のために、温かいご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2013(平成25)年6月6日
開陽丸子孫の会 会長
榎本 隆充